毎度絵本『タヌキのカナモノヤ』お買い上げありがとうございます。書店にてお求めできます。私の手元にも在庫がありますので、直接買う事もできますのでよろしくお願いします。
読んでくれた友人たちの感想の一つに「……なんという手間。そして愛情でしょう…」とありました。
この言葉から、大好きなアメリカの現代美術家の「More love Hours than Can Ever Be Repaid and The Wages of Sin」(返済できないほどの愛の時間)という作品を思い出しまして、今回はモラと現代美術、モダンアートの偶然の一致について書いてみようと思います。
一つ目は、日本語訳で『返済できないほどの愛の時間』。これはマイク・ケリーというアメリカの現代美術の作家の作品で、ぬいぐるみ、あみぐるみ、おばあちゃんの手編みのショールやマフラーといったアイテムを一枚のキャンバスに隙間なくぎゅうぎゅうに貼り付けたものです。
この作品を初めて見たのはまだ20代の頃。捨てられた不要品やゴミのかたまりの様でいて、小さい頃の友達が持っていたような手編みのショール、ドリームペッツみたいな縫いぐるみ、(ドリームペッツとは、昭和50年代に日本からアメリカに向けて輸出された、汽車の玩具の緩衝材として作られた動物の縫いぐるみで、緩衝材として縫いぐるみを入れるアイデアが素晴らしかったのか、汽車よりも縫いぐるみの商品としての完成度の高さからか、何とメインの汽車よりもこちらの方が商品化されて人気が出ました。)アーモンドの形をした目の人形、一つ一つがキュートなプレゼント!芸術は爆発だし、現代美術なんて難解だと思ってよく見ると、何とそれらは誰かのエターナルな想い出、センチメンタル、愛情の塊である事がわかり、他人事と思えず目が話せませんでした。
現代美術家 · 30日 1月 2017より出典
ともあれモラも服を飾るために、このファーストファッションの今の時代に自分や誰かのために手縫いで時間をかけて作るという点、ここで現代美術とモラのつながりを感じ、文字通り返済できないほどの愛、どちらも代償なしの愛の時間と言えるのかもしれないと得心したものです。
さらに偶然の一致と感じるものを上げますと、モラのタイプにも色々あり、ドリームペッツのような愛らしいキャラクターをモチーフにしたものがある一方で、伝統モラには幾何学的なスタイリッシュな線模様のものあります。
二つ目の現代美術は、フランク・ステラの初期の作品「ブラック・ペインティング」。私がこの作品に驚いたところは、一見すると黒く塗りつぶしたキャンバスにただ白い細い線が描いてあると思いきや、まったく逆で、白いラインに見えていたのは、黒の塗り残しのキャンバス地であった事です。
引用元:DIC川村記念美術館 https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/collection/
(第2ヴァージョン)
tomlinson court park 2
- 所蔵
- DIC川村記念美術館(千葉)
- 初出
~フランク・ステラの初期の作品「ブラック・ペインティング」
特に、モラの重ねた布を切って下の布の色を見せてアウトラインを作っている所が共通しているところですね。
今製作中の私のモラも、土台の布が薄いピンクで上に黒い布をのせて少しずつ切って縫いながら、鳥のアウトラインを作っています。どんな鳥になるのかお楽しみに!

以上私の感じました、モラと現代美術の一致を一部上げてみましたが、アートの偶然には普遍的に人が美しいと感じるもの、どこの時代、どこの場所でもあり得るものだと思った次第です。



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