「正解」なんていらない。荒井良二・長新太の絵本から教わった、自由な針仕事の楽しみ方

絵本
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はじめに:型紙の枠を超えて

私が手芸を始めた頃は、「きちんと」「正確に」「美しく」縫うことばかりに気を取られていました。一針一針が均等で、完璧な仕上がりを目指す——それが「良い手芸」だと思い込んでいたのです。しかし、二人の絵本作家との出会いが、私の針と糸に対する考え方を根本から変えてくれました。

荒井良二と長新太:自由な表現の旅人たち

荒井良二さんの「ゆらぎ」の美学

荒井良二さんの絵本を初めて手に取ったとき、その自由な筆致に心を奪われました。少しずつ揺れる線、完璧でない形、それでいて温かさに満ちた世界。荒井さんの絵は「整っていない」けれど、むしろその「ゆらぎ」こそが生命力を感じさせるのです。

長新太さんの予測不能な色彩世界

一方、長新太さんの作品は、常識を超えた色使いと奔放な発想に満ちています。青い象が赤い空を飛ぶような、「あり得ない」世界が当たり前に存在する。その予測不能な展開と大胆な表現は、私の創作における「べき論」を解き放ってくれました。

私の手仕事に与えた影響

モラの布選びに活かされる色彩の冒険

パナマの伝統手芸「モラ」を制作するとき、私は長新太さんの色彩感覚を思い出します。「この色の組み合わせは変かも」と思っても、あえて試してみる。すると思いがけない調和が生まれることがあります。型にはまらない色選びが、作品に新鮮な命を吹き込んでくれるのです。

モラに宿る「ゆらぎ」の温かさ

モラを縫う以前の私なら、「きれいに整えなければ」と神経をすり減らしていたでしょう。今は荒井良二さんの絵のように、少しの歪みや不揃いさえも愛おしく感じられます。手縫いの針目に込められた「ゆらぎ」こそが、工業製品にはない温かみを生み出すのだと気づいたのです。

日常に溶け込む創作の喜び

子どもと共に育つ創造性

小学1年生の我が子と一緒に絵本を読み、時には手を動かして何かを作る時間。子どもの自由な発想は、大人になった私たちが忘れがちな「正解なんていらない」という創作の原点を思い出させてくれます。

多層的な生活の中での手仕事

フラダンスや美術鑑賞など、様々な文化的体験も私の手仕事に影響を与えています。16年かけて完成させた布の絵本『タヌキのカナモノヤ』には、そうした日々の暮らしの中で培われた感性が詰まっています。手仕事は孤立した技術ではなく、生活全体と繋がっているのです。

あなたへのメッセージ:自分だけの「正解」を見つけて

手芸の世界に「絶対的な正解」はありません。大切なのは、あなた自身が「好き」と思える表現を見つけること。針と糸を持つ時間が、プレッシャーではなく瞑想のような心地よい時間になりますように。
完璧を目指すより、あなたらしい「ゆらぎ」を楽しんでください。荒井良二さんや長新太さんのように、既存の枠を超えて自由に表現することで、手仕事はもっと楽しくなります。
あなたの手から生まれる一針一針に、あなただけの物語を紡いでいってください。それこそが、最も美しい「正解」なのですから。

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